AKB48の戦略!:
 前田敦子卒業後のAKB48を牽引してきた高橋みなみさんが、全体の総監督に就任した。AKB48の総合プロデューサーである秋元氏も「本当に政治家になるべきだ」と言う。誰もが認める高橋みなみさんの、強いリーダーシップとは?
●リーダーシップとは天性のものではなく、環境が作るもの

田原:前田敦子さんが抜けたAKB48は、高橋みなみさんがますます牽引していくね。

 僕はテレビなんかで、「彼女は当時の総理大臣よりはるかに強いリーダーシップがある」と何度か言ったんです。AKB48はチーム・キャプテンがいたけど、全体のリーダーが任命されていたわけじゃない。でも、誰もが彼女がリーダーと認めていて、今回AKB48全体の「総監督」というものに就任すると。

秋元:高橋みなみという稀有(けう)な才能を持った子がキャプテンになったとき、本当にすべてのエネルギーを前に向けたと思いますね。本人はこんなこと絶対に言いたがらないでしょうけど、僕は高橋みなみは本当に政治家になるべきだと思います。あんなにリーダーシップのある子はいませんよ。

田原:秋元さんの考えるリーダーシップって、どんなことですか?

秋元:僕はそれを、高橋みなみに教えられました。リーダーシップとは天性のものではなく、環境が作るものだと。彼女に最初からリーダーシップらしきものがあって、それをオーディションで受かった直後から発揮したり、みんなを集めて聞いた不満や不安を僕にぶつけてきたりしたわけではないんです。高橋みなみは、本当に誰かの後についていくような子だった。ところが、お姉さんたちが卒業していなくなってしまい、もう頼る人もまとめる人も誰もいなくなったとき、彼女が輝き出した。やらざるを得ない状況が、リーダーを生み出した。

田原:彼女は、自分から手を挙げたんですか?

秋元:いやいや、先輩たちがいなくなり、このままではチームワークどころじゃないと、みんなで円陣を組んだときです。円陣を組んで「チームA!」とコールするんですが、やる人がいない。どうしようかと互いに顔色をうかがっていたら、誰かが「みなみがやれば」と言った。「じゃ、やるか」というのが、きっかけなんです。

 そこから高橋みなみは俄然、強いリーダーシップを発揮していく。これは僕も全然ノーマークで、彼女がそうなるとはまったく思っていなかった。彼女のリーダーシップは、それはそれは見事なものです。

●高橋みなみは痛みの分かっているリーダーだから、説得力がある

田原:どんなふうに見事なの?

秋元:痛みの分かっているリーダーだから、すごく説得力がある。例えば、メンバーの女の子が卒業していく。みんなは「おめでとう」「お疲れさま」「頑張ってね」と言って終わる。当たり前ですけど。ところが高橋みなみは、その子を呼び、ものすごく怖い形相で「お前は絶対に戻ってくるな」と言う。「もう、あなたの退路は完全になくなったと思いなさい。甘えていてはダメだ。それくらい、あなたには期待しているんだから」みたいなことを、えんえんと言うんですよ。

田原:高橋みなみは1991年4月8日生まれか。まだ21歳で、すごいね。

秋元:すごいです。いじわるで言うんじゃないんです。甘えた気持ちで、またAKBに戻ればいいやなんて、中途半端に思っていてはダメ。命がけでやれと。彼女たちのためにできることはなんでもやるという思いがあって言うから、説得力があるんです。

 博多にHKT48劇場ができたとき、そこの子たちがみんな14歳くらいで右往左往していた。たまたま東京でAKBメンバーと一緒になる機会があって、向こうのリーダーの子が高橋に「どうやってまとめたらいいでしょうか?」と相談したんです。すると、スケジュールが立て込んで選抜メンバーがへとへとに疲れていたときだったんですけど、高橋みなみは「HKT48のメンバーを全員呼んで」と言って、車座になって2時間しゃべった。話が特別うまいわけでもないけど、ちゃんと伝わるんです。なんだろうな。話がうまいとか判断力が的確とか、そういうのとは違うリーダーとしての才能でしょうね。(つづく)

[秋元康, 田原総一朗,Business Media 誠]